『伝えるんや』

先月初旬に開催された「雪心会選抜書作展」で拝見した
三藤観映先生の作品『伝えるんや 』。
1か月たった今も、その印象が深く心に残っています。

脳卒中で半身不随となられてからは、利き手とは逆の左手で制作を続けてこられた三藤先生。
今作も、一見するとたどたどしく、もどかしく書き進められたように見える文字を追ううちに、
書かれた言葉と重なって、その一字一字から強い決意のようなものが伝わり、
胸が熱くなる思いがしました。

石川県七尾市の由緒ある「願正寺」で、
三藤先生は創建360年の寺を守ってこられた前住職でもあります。
昨年元旦の大地震で築150年以上の本堂が被災し、やむを得ず解体されたと伺いました。
再建に向けて尽力しておられるものの、その道のりは決して容易ではないそうです。
それでも作中に記された言葉のように、苦しい状況の中で希望を見いだし、
動かしづらくなった右手で再び筆をとることを始められたと知り、深く心を打たれました。

大病や大震災という大きな困難に遭ってなお、立ち上がり、
前を向いて進み続けておられる先生のお姿から、そして作品から、
私も「精一杯生きよう」と勇気をいただきました。

今年、京都にある八坂神社にて、能登半島地震復興支援の書作展を開催されます。
多くの方にご覧いただきたい展覧会です。
ぜひお運びください。

2025『映心会書作展27』

会期:2025年10月10日(金)~10月13日(月・祝)
   10時~17時
   (但し、10月13日のみ15時まで)
会場:京都祇園八坂神社 常盤新殿
    〒605-0073 京都市東山区祇園町北側625
    TEL 075-525-8080

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